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教育

【考察】クソ客から学ぶ男の性教育

有害な男らしさ

 

強めのフェミニスト?と思われる方もいるかもしれません。この概念は遡ること約40年前、1980年代に生まれたものです。

 

1980年代後半、アメリカの心理学者らが、この「有害な男らしさ」という概念を提唱しました。

要は、偏った男らしさに固執することで、さまざまな弊害をもたらすのでは、という考え方です。

 

 

じゃあ「男らしさ」って何?という話になりますね。グレイソン・ペリー1)は、自身の著『男たちの終焉』の中で、「男性性の4要素」について言及しています。

具体的には、

の4つとしています。

 

ジェンダー論に精通している弁護士の太田啓子さん2)は、この男性性=男らしさを、「常に(誰かの上に)君臨していなければならない状態」と定義しました。

この「他人よりも優位にいたい」という考え方は、女性に向けられやすい。

そのため、幼いうちから女子・女性を下に見る経験を繰り返すことで、男としての優位性を築いているのだと。

 

もちろん男性全員がそういうわけではないでしょうが、無自覚のうちに男らしさに振り回されうっすら女性を下に見ている男性がいるのはなんとなくわかりますね。

 

また、太田さんは、大人になると擦りこまれてきた考え方はなかなか変わらないと書いています。

子どものうちから「男の子(もしくは女の子)なんだから○○しなさい」と偏ったジェンダー観を指導されることが、自分の考えを自力で訂正する機会を奪う一因だと考察していました。

こういうプロセスで、風俗嬢にキレ散らかすおじさんが生まれるんですね。

 

「モテない」という呪い

「他人より、女より優位でありたい」という男性特有の価値観を紹介しました。

この「優位でありたい」という考え方が、「モテない」という男性の悩みを複雑で有害なものにしています。

 

 

「インセル」と呼ばれる男性のことをご存じでしょうか。正式には「Involuntary celibate」、直訳すると「非自発的な禁欲主義者」です。

要は、「セックスしてくれる女がいないから禁欲状態になっちゃってる」という男性を指す言葉です。

 

インセルの考え方の特徴として、「セックスできないのは、拒否する女性が悪い!」というものがあります。

男である自分は優位だと位置づけているので、女性が悪い、という風になるのでしょう。

自分の非の原因を他人に依存すなよ。

 

「モテない=女性が悪い」という考え方が、やがて「自分で思うようにいかない=女性が悪い」という風に徐々に変化していきます。

 

風俗嬢はあくまでも仕事なので、できることとできないことがあります。できないことを断った時に、女性が悪いという考えに至り、自分勝手な行動に移るのでしょう。

 

そんなことで悩むなんてくだんね~と思うかもしれませんが、男性にとって「モテない」という状態は、実はかなり大きな問題なのです。

 

2008年に起きた秋葉原無差別殺傷事件、犯人の加藤智大死刑囚は、彼女がいなかった自身の境遇に強くコンプレックスを抱いていました。

事件前には、「彼女がいない、この一点で人生崩壊」とネット上に書き込んでいたようです。3)

 

極端な例を挙げてしまいましたが、モテないことが危険な思想や他害につながることもありうるのです。

モテるモテないというよりは、自己評価を他人に依存しないことが大切ですね。

 

日本の性教育もよくないよ

近年、AVをセックスや異性交流のお手本にすることが問題視されています。

大学やネット配信等で、AV男優の方々がAVを教科書にすることの危険性を講演されているようです。

 

デリヘルもののAVで、えちえちなおねえさんが本番に誘ってくれゆ~~~!みたいなのがありますね。ないから、そんなこと。現実なめんなよ。

 

 

クソ客は、自分(男性)が優位と思う傾向があるので、AVのような自分に都合のいい情報を信じやすいのでしょうね。

しかし、これはある意味仕方がないことなのです。

 

なぜなら、日本の性教育の構造に問題があるからです。

 

 

ユネスコの「国際セクシュアリティの教育ガイダンス」の一部4)を見てみましょう。

 

世界的な基準では、8歳までには「精子と卵子の結合による受精の仕組み」をクリアしておかないといけないようです。

 

そして、18歳、日本でいうと成人するまでには、「セックスには、避妊と性感染症の予防、お互いの合意が必要」という理解が求められます。

 

日本で受精の仕組みを習うのは、だいたい中学生くらいです。単純計算で、日本は6年程度世界から遅れているようです。

 

 

性教育が遅れていることには理由があって、日本で性教育を扱うことがタブー視されているからです。

 

2003年、都内の養護学校で行われた性教育を、マスコミや一部議員が「不適切だ、ポルノだ」と糾弾した事件がありました。

最終的に、なんと最高裁まで争われました。5)2018年にも似たような事件がありました。

 

よかれ、と思った教育でも弾圧されてしまうおそれがあるため、「性教育って取り扱わないほうがいいかも」という風潮が生まれました。

 

正しい性教育が受けられない子どもは、身近なAVや友だちの噂を信じ、訂正されることなく大人になってしまいます。

 

 

性教育は学校にお任せ、という考え方はあまりよくないのかもしれません。家庭でも、性教育について触れ、正しい知識を教えることが必要ですね。

 

まとめだよっ

 

 

 

おわりに

意外に真面目な記事になっちゃいましたね、こんな題材なのに。

私自身、息子(まだ9か月だけど)を育てるシングルマザーです。将来、だるいこじらせおじさんにならないように、早めに先手を打っておきます。

 

なんか男叩きみたいな記事になっちゃったな。

ツイフェミだと思われたらめいてや家末代までの恥。

 

あんな学のない人たちと一緒にしないでほしいですよね。

こっちは大学まで出てるので。

 

 

 

おわり

 

 

 

 

🛀参考・引用文献🛀

1)グレイソン・ペリー,「男たちの終焉」,フィルムアート社,2019年12月

2)太田啓子,「これからの男の子たちへ」,大月書店,2020年8月

3)「彼女がいない、この一点で人生崩壊」 秋葉原殺人犯の孤独と苦痛,JCASTニュース,https://www.j-cast.com/2008/06/09021495.html?p=all

2008年6月9日,参照2022年11月14日

4)東京新聞2018年4月7日朝刊より

5)斉藤寛子、山田佳奈,「性教育授業を都議が問題視、都教委指導へ 区教委は反論」,朝日新聞デジタル,https://www.asahi.com/articles/ASL3Q74RPL3QUTIL08G.html

2018年3月23日,参照2022年11月14日

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